ギャラリー
アーティスト。
メインは「下地ワークス」制作。
サブ・ワークとして、
日本全国の漆職人の仕事を紹介中。
漆の素晴らしさを、
一人でも多くの人に、
伝えたいと思っています。
 
 
ホーム
ブログ「うるしが、いいね。」
小川マア「下地ワークス」
ぬりもの対談「うるしが、いいね。」
 
by Urushigaiine Project
 
 
ARCHIVES
サイト・トップページ:写真に関して
最近質問されたことに、お答えしておきます。

サイト・トップページに流れている写真に関して、
「あれは何ですか?」というメールをいただきました。

注:「ブログ」ではなく「ホーム」の方です。

1)
朱色のお椀は、奥田達朗さんの合鹿椀です。
ごくごく初期に作られたものでしょうか。
晩年のお椀に較べると、まだ随分ウブな味わいです。
奥田さんが作られた漆の器はどれもそうなんだけど、
おっとりとしていて優雅で気品があるのですね。
天上を自由闊達に駆け回る奔放さがあります。
そういうお椀には、なかなか出会えないのですが…。
ちなみに置かれているのは、僕の作業台の上。
向かって右に見えているのは、いつも使う漆ベラです。

2)
これは『下地ワークス・カルト』2点。
シリーズの最初の時期に作ったものですね。
ベースになっているのは、手漉きの美濃和紙。
これを漉いてくれたのは保木成敏さんですが、
彼は昨年12月に46歳で亡くなってしまいました。
まだ僕の手元には彼が漉いてくれた和紙があるので、
今後、少しづつでも完成させたいと願っています。

僕が心から「使いたい」と願うもの、
あるいは心から「作りたい」と願うもの、
それには常に「鎮魂」が込められています。

小川マア
 
| - | 22:00 | - | - |
びわこふきんと和太布(わたふ)
漆の器の扱い方については、
これまでもレクチャー「うるしが、いいね。」で、
具体的にお話してきました。

そのプログラムの中でいつもお勧めしているのが、
器を洗う時のための「びわこふきん」と、
器を拭く時のための「和太布(わたふ)」です。

洗剤なしで洗って、キレイになるという優れもの。
ガラ紡という日本独自の紡績方法で織られていて、
デコボコしたガラ紡糸自体に油や汚れを取り込むため、
布として抜群の吸収性と吸油性があるのです。

詳細は下記のホームページをご覧ください。
朝光テープ有限会社
http://www.biwakofukin.com/

小川マア
 
| - | 22:20 | - | - |
伏見眞樹・フェイスブック:漆器の扱い方
塗師・伏見眞樹さんの「漆器の扱い方」に関する文章が、
フェイスブックで読むことが出来るようです。
作り手の立場から丁寧に説明されていますから、
興味のある方はぜひ一度ご覧ください。

小川マア

https://www.facebook.com/notes/fushimiurushikobo/%E6%BC%86%E5%99%A8%E3%81%AE%E6%89%B1%E3%81%84%E6%96%B9/748637041845426
 
| - | 20:15 | - | - |
漆の未来に思いを馳せて
仲のいい職人さんと会っている時に、
必ず漆の産地などの現状を聞くことがあります。
それはほとんどの場合、あまり明るい話題ではなくて…。
たしかに産業として、難しい課題はあるのでしょうが。

この「うるしが、いいね。」という活動を通して、
これまで蓄積された私たちのノウハウからすれば、
漆へ興味を持っている方はとても多いし、
漆を知りたいという真摯な気持ちによく出会います。
むしろ私たちの方からまだまだ提供できていないなぁ、
と思うことの方が多いとも言えるのです。

以前から何度もレクチャーの場でお話しているように、
「無地」で「普段使い」の器をどんどん使ってほしい、
職人さんがきちんと作った漆の器を毎日使ってほしい、
それがシンプルな私たちの「願い」です。
本物はいつになっても変わらないし廃れたりしない、
一生大切に使い続けられるものを持っていることは、
それだけでかけがえにない豊かさをもたらしてくれます。

歴史的に漆の産地が繁栄したのはもちろん事実ですが、
これから産業としての形態は変わって行くのかも…。

私たち「うるしが、いいね。」が心の中に、
いつも変わらずに抱いているのは、
「漆には未来がある」ということ。

ほら、あのブラックバーン校長も、
卒業式の祝辞で述べていたではありませんか。
「最良のことは、
 過去にあるのではなく、
 未来にあるのだ」と。

小川マア
 
| - | 22:40 | - | - |
伏見眞樹・フェイスブック:拭き漆考
塗師・伏見眞樹さんから連絡をいただきました。
「拭き漆」に関して考えていることを、
フェイスブックに載せました、と。

下記のURLで読むことが出来ます。
とてもわかりやすく説明されていますので、
興味のある方はぜひ一度目を通してみてください。

https://www.facebook.com/notes/fushimiurushikobo/%E6%8B%AD%E3%81%8D%E6%BC%86%E8%80%83/736375513071579

僕自身の仕事の中で言えば、
「拭き漆」の作業はただただ愉しい工程です。
どちらかと言うと「塗り」や「磨ぎ」は、
どのシリーズの場合も神経を研ぎ澄ませて、
精神を集中して臨むという状態なので、
本番前のアスリート的なのですが…。

僕が『下地ワークス』を完成させていく中で、
あまり多くはない工程である「拭き漆」については、
リラックスして心をニコニコさせてやっています。
ちょっと精神論のような言い方になりますが、
「拭き漆」の時には自分のピースフルな気持ちが、
そのままダイレクトに表れてくると思うからです。

料理のプロセスに置き換えて言うならば、
肉厚の利尻昆布と削った鰹節をたっぷり使って、
クリアな一番出汁を取るように、という感じなのかな?

小川マア
 
| - | 22:20 | - | - |
言葉の魔法:ブライアン・エヴンソン
漆の仕事を一人でしている時、
よく「言葉って不思議だよ」と思ったりします。

漆は使うマテリアルとして不思議だし、
なかなか自分の考えたようにはならないし、
だからこそ飽きないというのが本当のところだけど、
言葉を使うスペシャリスト、つまり小説家にとって、
(僕にとっての漆というものに置き換えてみると、)
彼らはどのように考えてつきあっているのかな、
という興味が募ってきます。

そんな抽象的な話ばかりでは退屈でしょうから、
具体的にわかってもらえるようなサンプルとして、
僕が最近読んで心惹かれた短編小説集をご紹介。

遁走状態(とんそうじょうたい)
ブライアン・エヴンソン/著
柴田元幸/訳
http://www.shinchosha.co.jp/book/590108/

これらの短編はどれも言葉によって、
読んでいる人をどこかへ連れて行ってしまう、
そんなマジックに満ちているように感じました。
でも「どこか」と言ってもその「どこか」は、
実は「どこにもない」「どこか」であって、
言葉で作ったものだからこそ可能だった、
ある種のフィクショナルな「夢」なんでしょうね。

いやいや、内容からすると「悪夢」なのかな?
とっても魅力的な「悪夢」なんですけどね、
少なくとも僕にとっては。

で、たまたま来日したブライアンに会える機会があり、
わざわざ早稲田で行われた講演会に行ったのですが、
これが本の印象とはまったく違って、
温和でジェントルなアメリカンでした。

でもなぁ、作者自身の現実の印象ほど、
アテにならないものはないから(笑)。
作品だけに向き合っている方がいいのかも…。

小川マア
 
| - | 22:30 | - | - |
革新する志:漆の多様性
伝統という名の強固な生命体があるとして、
その精神は受け継がれ、語られるべきだと思います。
だけど時代が変わり、価値観も変化するのであれば、
それに合わせてどんどん変えてゆくべきだとも思います。

角偉三郎さんは輪島の居酒屋のカウンターで、
よくこう言っていました。
「漆には多様性があるんだ」と。
本当にそうなんですね。

器を作るという技術に収斂するだけではなくて、
漆の可能性はそれこそ無限に拡がっているのではないか、
そういう問いかけとして僕は心に深く刻んでいます。

一方に伝統というよき規範があるとすれば、
とにかくそこに鍛練の場を求めて会得して、
その上でしばられるのではなく、
むしろ自由にはばたいてゆく、
ということだと言ったらいいのでしょうか。

漆という魅力的な存在と一緒にいられる幸福。
日々感じるのは、僕の場合、それに尽きます。

小川マア
 
| - | 22:30 | - | - |
伝統のチカラ:本堅地塗
ホンカタジヌリ、という言葉の響きは、
僕にとって特別な意味合いを持っています。

輪島塗の最もスタンダードな手法であり、
そこに漆塗のエッセンスがあると言えるからです。

本堅地塗の技術を持った職人さんへのリスペクトは、
僕の心の中に言い知れぬほどの重さと深さで存在します。
富士山頂を麓から仰ぎ見るとでも形容したらいいのか、
決して辿り着けないにしても到達点として常に見ていたい、と。

下地塗・上塗・加飾(蒔絵・沈金)などなど、
それぞれの職人さんのそれぞれの技術を心に刻み、
顔を思い浮かべながら伝統のチカラにいつも思いを馳せます。

僕自身は基本的に器を作ったりしないし、
本堅地塗の技術にはほど遠いものがある訳だけれど。
でも根本にはそういう伝統のチカラを信じていて、
少しでも何らかの寄与が出来ないかと思うのですが。

やはり課題は大きく、道のりは遠い。
だからこそ…。

小川マア
 
| - | 21:10 | - | - |
リスペクト:J.J.ケール
このところ愛聴していたアルバムに、
J.J.ケール『ロール・オン』があります。

長年、新作が出るたびに聴き込んできたので、
その十数枚のソロはどれにも愛着があって、
ひとつひとつがかけがえのないものなのです。

それなのに彼は一年前の7月26日に、
心臓発作で亡くなってしまいました。
本当に寂しい。
心から冥福を祈りたいと思います。
http://www.barks.jp/news/?id=1000092824

さてつい最近、エリック・クラプトンが、
彼に捧げる(追悼のための)アルバムを制作。
Eric Clapton & Friends
The Breeze, An Appreciation of JJ Cale
http://www.barks.jp/news/?id=1000103114

僕にとってエリック・クラプトンは、
いてもいなくてもどうでもいいような、
そんなミュージシャンなんだけど…(苦笑)。
彼が『After Midnight』『Cocaine』をカヴァーして、
J.J.ケールをリスペクトしているのを見た時は、
さすがに心が踊ったな。

だって、エリックの何百万分の一の知名度も、
(特に日本では)ないような人だったから…。
どんなきっかけでもいいので、
あの珠玉のメロディに触れてもらえるのは嬉しい。
https://www.youtube.com/watch?v=2IZ9feKpJkk
https://www.youtube.com/watch?v=rGRjQ7WOmq8

自分にもお世話になった漆の下地職人さんたちへ、
限りないリスペクトがあるわけなんだけど、
なにかそうした形に出来ているのかどうか、
覚束ないなぁと思ってしまった。

今後の課題は、大きい。

小川マア
 
| - | 23:05 | - | - |
| 1/1PAGES |